Prochlorophyta

Prochloronを発見したRalph A. Lewin博士は、この原核性藻類がクロロフィルbを持ち、フィコビリンを持たないことから、藍藻とは異なる藻類であるとして　Prochlorophyta（原核緑藻門）を作った。その後、同じ色素組成の原核性藻類としてProchlorococcusとProchlorothrixが発見されたので、Prochlorophytaは3属で構成されることになった。
　植物の葉緑体は原核性の藻類が起源であると考えられるので、高等植物と同じ色素組成をもつProchlorophytaは、葉緑体の起源生物に近いのではないかと期待された。
　その後、分子系統学的解析から、Prochlorophytaの3属はそれぞれ異なる藍藻と近縁であり、高等植物の葉緑体とは必ずしも近いとは考えられないことから、現在はProchloronや他の2属は藍藻に含まれるとみなし、Prochlorophytaという分類群は用いられないことが多い。

ホヤの共生藻

ホヤの共生藻はいずれも藍藻で、多くの宿主ホヤはProchloron を共生藻としてしていますが、Synecocystis と共生するホヤもいます。
藍藻としては例外的にProchloron はクロロフィルa と b を光合成色素としており、フィコビリンを持っていません。
宿主ホヤの一種Trididemnum clinides は3種の藍藻を持っています(see Hirose, Uchida & Murakami, European Journal of Phycology, 2009).
これまでにProchloron 以外の藍藻は、Trididemnum を宿主とし、その被嚢の中に分布するものしか見つかっていません。理由はわかりませんが、共生成立の秘密を解き明かす鍵がこういう所に隠れているのかも知れません。

Prochloron