私たちが新種記載した藻類共生ホヤ (2)

 Lissoclinum miduiは、久米島の礁縁で発見された群体ホヤです。プロクロロンとが皮(被嚢)の中に埋まっているので、群体は全体に緑色ですが、骨片も持っているので群体を裏側から見ると白〜灰緑色です。群体の表側に骨片が少ないのは、プロクロロンが光合成を行うための光をさえぎらないためでしょう。水深1mぐらいで、岩の窪んだところなど薄暗い場所にいます。精巣や輸精管の形からLissoclinum 属に分類されます。
 ジデムニ科のホヤは全て群体性で、一つ一つの個虫はそれぞれ口を持っており、通常はいくつかの個虫が1つの排出口を共有します。ところが、
Lissoclinum miduiは個虫がそれぞれ排出口を持っている点でとてもユニークです。精巣や輸精管の形からLissoclinum 属に分類されます。
 これまでのところ本種は久米島の限られた場所でしか見つかっていませんが、そこでは決して珍しい種ではありません。なぜそこでしか見つからないのかわかりませんが、この場所の自然環境が維持されることが望まれます。
 

Pasted Graphic 1
Lissoclinum midui Hirose et Hirose 2011

  • Hirose E, Hirose M: A new didemnid ascidian Lissoclinum midui sp. nov. from Kumejima Island (Okinawa, Japan), with remarks on the absence of a common cloacal system and the presence of an unknown organ. Zoological Science, 28(6): 462–468, 2011